ある意味理想の夫婦についての物語でもあるのか?『間宮兄弟』

 『RENT/レント』でスクリーンに映る「♪Seasons of love」の訳詞を読みながら、「1年を何で数えるかねぇ・・・」と考えたところ、月刊の弊誌を思い起こしてしまった「miz_ak」=「ワーカホリック」です*1。「むむむ、他に何で数えよかね」と気の効いたものを考えていたら*2、訳詞から「愛で数えてみたらどうか」と問い掛けられた。むむむ。
 「むむむ」と考えていたのと号泣しながらも目はランラン状態なもあり、続いて『間宮兄弟』を観賞←日曜日の朝フットサルのドタキャン理由はコレ。起きたら11:47AMでした、ごめんなさい!
 さて、『間宮兄弟』。ビール会社に勤める兄・明信と小学校の用務員の弟・徹信。東京のとある下町でともに暮らす二人は、横浜ベイスターズ*3だとか、ビデオ鑑賞だとか、餃子じゃんけんだとか、とかく趣味や好みが似通った兄弟だ。本作は、この兄弟と彼らの周りに集う人々の生活を、あくまで日常生活目線で、どこまでも緩やかに紡ぐヒューマン・ドラマである。
 全編を一貫して流れるのは「ユルさ」。これは「ダルい」とは別物で、あくまで「ユル」。しかしこれが、α波やら1/fゆらぎやらナンか仕込んでるんですか?と訊きたくなるほどの癒し光線を照射してくれる*4。この癒し光線の照射元の一つがタイトルロールである間宮兄弟。どこまでも平平凡凡で、いつも同じライフサイクルで、自分達のささやかな楽しみを追求する。彼らの生き方は、「ヒトとして生きるのに持っていたい余裕」ってのを持った「理想的な生き方」の一つではなかろうか。
 今でこそ土日問わず在社ですよモードも辞さないmiz_akですが、こんな緩やかな生活を送ったこともなくはなく。遠い昔、まだ学大は下馬側に住んでいた入社2年目の冬、大家さんが1億2000万の借金こさえてハコテン*5をこいた。ハーフ・ヤクザな交渉で立退き料を多めにせしめて新しいマンションへの引っ越しが決まるも、新しい家が建つまで2ヶ月。同期Oの家にでも転がり込むかと思ったその時、テニス仲間の会社の先輩(男性)が、こんな申し出をしてくれた。
「部屋が余ってるから荷物を預かったろか?荷物だけなら家賃1万、miz_ak付なら家賃2万。」
なーんも考えず即答でmiz_ak付を所望、結局3ヶ月ほどお世話になった*6のだが、この同居人が非常に心地よい距離感を持っている御方で。とにかく干渉しない。かといって無関心でもない。私がメシを作り始めるとフラリと自室から出てきて「オレもオレも」と美味そうに食べて*7、ヨタ話をしてまた部屋に去る。先輩が転職活動時だったのもあり、僭越ながらよっぴき相談に乗ったもんだ。結局家賃も取られずじまいだったんだけど。実はあの生活やこの間宮兄弟的な生活が理想の生活環境なんじゃないかとこれを書きながらふと思った。兄弟だけじゃなく、「実は他人様」同士が一つ屋根に暮らす夫婦関係とかでもね*8
 パンフの中で本作の監督・森田芳光が「趣味とライフスタイルを共有できる関係ってストレス無いな、こういう人間関係を提案したいなと思った」と語っていたのだが、本作はまさにそれを映像化した一本。心地よき距離感と、心地よき共有。日常に疲れた人にこそ、処方したい良作です。

*1:ややや、言うほどワーカホリックでもないとホントは思ってるんだけど

*2:映画ちゃんと観てるのかよ

*3:この応援のし方がまたユル楽しそう

*4:『RENT』後にコレを観て、ある意味正解?

*5:オケラになるということでございますな。麻雀用語です

*6:つい最近までA社I氏(AS社ではなくAM社の方)は「なんかあっただろ」と疑っていたが、いや、なんかあったら転がり込んだってこんなとこで言わないでしょ

*7:そういやあの頃の定番メニューは餃子でしたわ

*8:と言いつつ、かの先輩とその後1年暮らしたところで恐らく結婚がどーのにはならなかっただろうヘンな自信があるけれど