ロック、ユー?

 「RENT」「書く女(第2回)」「WE WILL ROCK YOU」と続いた秋のゲージツGWのラストに、嬉しいご案内を頂いた。三谷幸喜作「エキストラ」@新宿。これはかなり嬉しい。というか、たった1W余りで結構観たなあ*1。今日はその中の1本、「WE WILL ROCK YOU」の感想を。
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 「WE WILL ROCK YOU」とは、かのQueenの楽曲を全篇通して使ったミュージカルで、2002年のロンドンから始まり、ラスベガス、シドニーをはじめ各国でのべ1500回超上演されてきた作品だ。日本では昨年が初演(のはず)。お話は非常に簡単。今から300年以上離れた遠い未来。全ての楽器は破壊され、音楽そのものが封印されてしまった地球が舞台だ。『A.I.』『アイランド』*2の世界のような独裁体制下で人々は無気力に生きていたのたが、そこに「不思議な言葉が脳裏に『降りて』くる若者」が現れる。降りて来る言葉は実はQueenの楽曲の歌詞なんだが(笑)。彼はやがて一人の女性と共に仲間に出会い、音楽と世界を「解放」する・・・という話。もうお話自体は本当にそれだけ。この作品に物語はさほど関係ないのだ。Queenの楽曲を聴きに来る作品だから。それで皆でノるための作品だから。しかし、この音楽が凄い。
 聴きどころは、まずスカラムーシュとキラー・クイーン(ともに役名)の声量。あれ、主人公は?・・・今日の主演はパンフに出ていたのと違う役者だったのだけど、まるで「人気投票をすると主人公が3位や4位に沈んでしまうタイプのジャンプ連載マンガの主人公」のような主人公で・・・。むーん。しかし、このカリスマがあまり無い主人公が光るシーンが、最大の見せ場のラスト3曲。名曲群で場内総立ち、例の蛍光棒をフリフリしながら拍手喝采ですよ。この異常に盛り上がる3曲は、見たことない人は見ておいて損はないでしょう。
 ちなみに、会場で1本300円でサイなんとかという蛍光棒が売っているのだが、ダマされたと思ってこれは買ってみるべし。恐らくフリフリでノリノリ(死語)になれます。
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 といいつつ、なんの奇もギミックも無い「お天道様が照ってる一本道をニコニコ笑いながら闊歩している」ような作品は、見ていてスカッとするんだけど、それで何かを惹起されるような思いはしない。むしろ本作の休み時間中に同行の「みなみ」さんと話した『ゆれる』や、先日第2回を鑑賞した『書く女』の方が沸き立つ何かを感じる。巧みな筆致に心惹かれ、言葉の、映像の、表情の向こう側に潜むものに心惹かれるのである。初見時に言葉を失った『書く女』については、また今度。
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お題の「ロック、ユー」は、終演後、蟹すきをつついた際に梅酒ロックを頼み、放ちあったオヤジギャグの一つ。活字化すると・・・嗚呼。

*1:代わりに全然映画を観れていない。まずい・・・かなりまずい。

*2:もっと言えば『ブレードランナー』か